菊地凛子さんが扮する茨田りつ子の役で、戦地へと赴く十代の特攻隊員たちの前で「別れのブルース」を熱唱する場面が描かれています。このりつ子というキャラクターは、実際に特攻隊の若者たちの前で歌を披露した淡谷のり子さんがモデルとなっています。
特攻隊の少年たちとの心温まる出会いと切ない別れのエピソードは、私の母が小学生の時に軍の連隊を慰問し、合唱をしたという実話に基づいています。母はまた千人針にも参加したそうです。田舎の親戚の家に疎開したことは以前から聞いていましたが、慰問活動の話は初耳でした。戦時中の辛い経験から、母はその時代のことをあまり話したがらないのです。
このドラマを通じて、母の知られざるエピソードに触れることができ、私は改めて自分が戦争についてまだ多くを知らないと感じました。
りつ子さんのモデルである淡谷のり子先生も、実際に特攻隊の前で「別れのブルース」を歌ったことがあるとのこと。新年初の放送からスタートしたドラマでは、李香蘭、すなわち山口淑子さんを演じるミュージカル女優の昆夏美さんが登場しています。
ドラマの中での淡谷先生が特攻隊員からのリクエストに応えて「別れのブルース」を歌うシーンは、実に感動的でした。堂々としていても、隊員たちの「もう迷いはなくなりました」という言葉を受け、舞台袖でこらえきれずに涙を流すりつ子の姿に、私も涙が止まりませんでした。
スズ子の兄弟や、戦争で大切な人を失った人々にとって、このエピソードは深く心に響くものでしょう。夫を失いながらも強く振る舞う婦人の姿は、悲しんで良いというメッセージを伝えているように思えます。
淡谷のり子先生が後年、若手芸人たちに辛口の批評をするのは、若くして命を落とした特攻隊員たちの姿が頭をよぎるからだと本人が語っていました。彼女の気持ちは理解できる一方で、芸人たちも気の毒に思えます。
このドラマは、戦中のシーンを見ると涙が止まらないほど感動的で、日本の戦時中の政策の愚かさを再認識させられます。
淡谷のり子さんが、特攻命令が下される中での歌唱中に、隊員たちの笑顔で部屋を出ていく姿に号泣したというエピソードもあります。
今回の放送は、視聴者にとっても辛い内容で、茨田さんや特攻隊員たち、上官の涙までが心に残りました。
菊地凛子さんの演技は見事で、特に「別れのブルース」のシーンは印象的でした。
このドラマは、特攻隊員たちの運命に対して深い思いを抱かせるものです。一方で、無表情な演技や歌い方には改善の余地があると感じる方もいるかもしれません。
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