第14話は、よね(土居志央梨)は貧しい生い立ちを明かし、涼子(桜井ユキ)や寅子(伊藤沙莉)など、同級生らが恵まれていることに憤りを感じることを告白する。かける言葉が見つからない寅子は「毒まんじゅう事件」の実際の判例を再検証しようと提案する。はる(石田ゆり子)と花江(森田望智)の力も借り、実際にまんじゅうを作ってみることにする寅子たち。すると、意外な事実が判明する…というストーリーだった。
「股間を蹴る」という表現には、力の弱い女性が男性を打ち負かす唯一の手段としての意味が含まれているだけでなく、長年女性を抑圧してきた男性社会に対する怒りを象徴的に示す意味も込められています。そのようなセリフをあえて良家のお嬢様に言わせることで、強いインパクトを狙っていると考えられます。このセリフは耳に心地よいものではなく、作者の熱意がやや先走っているようにも感じられます。涼子様役を演じる桜井ユキさんは、過去に『娼年』で松坂桃李さんと共演し、大胆な演技を展開してきた経験を持つため、この程度のセリフは彼女にとってはさほど問題ではないでしょう。
シリアスな場面とコミカルな場面のバランスが見事にとれていて、「らんまん」という作品を思い起こさせます。また、毒饅頭事件については、故意に事実を変更して描かれているのではないかと思いましたが、実際にはそうではなかったようです。女性が都合の良いように扱われがちな現実に、寅子はこれから立ち向かっていくのでしょう。そして、花江ちゃんは今度は思い切り砂糖を加えてしまえば良いと思いますね。
裁判劇の元となった実際の事件では、毒ではなくチフス菌が問題でした。調べてみると、実際に「チフス菌饅頭事件」が存在し、年下の男性に貢いで裏切られた点は同じです。事件の加害者であった女医は模範囚として早期に出所し、その後も医師として活動を続け、一期だけ選挙にも当選したそうです。
また、今朝の放送で「おつきのもの」というセリフが使われていましたが、最初はその意味が分からず、見ているうちに理解できるようになりましたが、その必要性については今も考えています。
涼子さんは自らの置かれた状況を理解しながらも、このままではいけないと感じているようです。その心情が伝わってきて、ドラマの登場人物たちを私も非常に気に入っています。ただ、お父さんについては少し頼りないかもしれません。
このように貧困の女性と華族の令嬢を同じ場に配し、彼女たちが交わす会話の内容は、脚本の素晴らしさを改めて感じさせます。涼子様が躊躇いつつもはっきりと「股間」と発言した場面は、とても印象的でした。
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