朝ドラ「おむすび」制作の裏側:橋本環奈起用と医療描写の課題

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「おむすび」制作現場が抱えた橋本環奈起用の代償

NHK連続テレビ小説「おむすび」の制作現場では、主演・橋本環奈の起用をめぐって様々な課題が浮き彫りになりました。2024年2月11日にクランクアップを迎えた本作品ですが、その道のりは決して平坦なものではありませんでした。

朝ドラの魅力の一つは、新人俳優の主役抜擢とその後の俳優としての成長を見守ることにあります。しかし、今回の「おむすび」では、すでに人気女優として確立していた橋本環奈を起用。一定の視聴率は見込めるとの判断があったものの、その選択は制作現場に大きな影響を及ぼすことになりました。

特に深刻だったのは、主演女優の多忙なスケジュールへの対応です。橋本環奈は朝ドラ以外の仕事も抱えており、撮影スケジュールの調整は困難を極めました。その結果、物語の展開にも影響が及び、主役が2週間不在という異例の事態も発生。制作側は慌てて脚本を変更し、スピンオフの撮影や大物俳優のゲスト出演で対応せざるを得ませんでした。

この状況は、共演者たちにも波及していきました。佐野勇斗演じる翔也のシーンでは、ドラマ時間では何年も経過しているにもかかわらず、同じ場所で衣装やかつらを変えて半日程度でまとめて撮影するという事態も。このような制作の綱渡り状態は、ドラマの質にも影響を及ぼすことになりました。

クランクアップの様子からも、制作現場の特異な状況が垣間見えます。通常、クランクアップでは共演者に囲まれての花束贈呈が恒例となっていますが、橋本環奈一人での報告となりました。橋本自身は、クランクアップ用に作られた「おむすび」のダイジェスト映像を見て感涙し、米田家のたわいもない会話のシーンへの愛着を語っています。

しかし、人気女優の起用は視聴率には必ずしも直結しませんでした。本作品は、倉科カナ主演の「ウェルかめ」の世帯視聴率13.5%(関東地区)を下回り、歴代ワーストとなることが濃厚な状況です。

制作関係者からは、「大人気で朝ドラ以外の仕事にも追われている橋本さんを起用したことが、そもそもの原因だったのでは」との指摘も上がっています。朝ドラという半年間にわたる長期作品において、主演女優の全面的な時間的コミットメントが得られないことは、作品の質に大きな影響を及ぼすことを、この「おむすび」は示す結果となりました。

視聴者からも「人気俳優を並べただけのように見える」「主役不在のシーンも多く、期待を裏切られた」との声が上がっています。朝ドラファンの目は確かに厳しく、作品の本質的な魅力が問われる結果となったのです。

医療監修不足で浮き彫りになる脚本の課題

「おむすび」の脚本における最も顕著な問題点は、医療現場の描写における違和感の数々でした。特に主人公・結が管理栄養士として働く病院を舞台にした展開では、医療の専門家からも厳しい指摘が相次ぎました。

その一例が、すい臓腫瘍の患者をめぐる展開です。担当医と検査技師が見逃した膵臓腫瘍について、管理栄養士である結が責められるという展開に、医療現場から疑問の声が上がりました。血液内科医の中村幸嗣氏は、「外科医が緊急手術後直接主治医、看護師を責めることは理不尽なパワハラ。まして管理栄養士が責められることは?」と指摘。超音波検査で異常が見つからなかった場合はなおさらだと述べています。

また、患者の食事に関する描写も現実離れしています。患者が「食べにくい」と訴えた際、結がすぐに別メニューを持ってくるシーンがありましたが、これは病院の実態とかけ離れています。委託業者への説明や手続きが必要で、実際は次回からの提供になるはずだという指摘もありました。

聖人の胃の精密検査をめぐる展開でも、医療の専門知識の不足が露呈しています。人間ドックの結果に「当病院で精密検査を受けてください」という趣旨の内容が書かれていたため素直に従ったという設定でしたが、胃カメラをして生検に出すなら、がんの確率は極めて高いはずです。しかし、写真で見る限り胃にポリープはなく、少し荒れている程度で、早期の胃がんの場合は無症状で痛みはないため、悪性の疑いは極めて低いという指摘もありました。

さらに、義歯の不具合に関する描写も現実味を欠いています。すい臓の手術をした患者が「食欲もあるし味もわかるけど、何か食べられない」と訴え、嚥下状態を診る専門技士が来て調べた結果、「義歯の不具合」と言い切る展開がありましたが、義歯の不具合は本人が一番よく分かるはずだという指摘も上がっています。

このような医療描写の問題について、「監察医朝顔」の脚本も担当した根本ノンジ氏が手がけているにもかかわらず、なぜこのような展開になったのかという疑問の声も上がっています。原作のある医療ドラマでは的確な描写ができていたにもかかわらず、「おむすび」では管理栄養士の立場や医療現場の実態について、十分な理解が反映されていないように見受けられます。

視聴者からは「脚本家は全く医学の知識がなく、またそれを補う調査や情報収集、勉強もしていない」「病院を舞台にした脚本など書くべきではない」という厳しい意見も寄せられています。医療現場の描写においては、より丁寧な取材と専門家との連携が不可欠だったのではないでしょうか。

クランクアップ報告に隠された制作の混乱

2024年2月13日、NHK連続テレビ小説「おむすび」の公式サイトは、11日にクランクアップを迎えたことを報告しました。しかし、この報告の裏には、制作現場が抱えていた様々な課題が見え隠れしていました。

主演の橋本環奈は、クランクアップに際して感動的なコメントを寄せています。「クランクアップ用に作られた『おむすび』のダイジェスト映像を見て、涙涙のシーンや、笑い合う日常のシーンなど、このスタジオで本当にたくさん撮影したことを思い出して感涙しておりました」と述べ、また「米田家のたわいもない会話などのシーンがすごく好きでした」と振り返りました。さらに「『おむすび』は見ている方にとって親近感のわく作品なんだと思っています」と語り、作品への愛着を示しています。

しかし、制作の実態はそれほど理想的なものではありませんでした。脚本家の根本ノンジ氏は、「おむすび」の脚本執筆と同時期に、テレビ朝日のドラマ「無能の鷹」や劇場版「パリピ孔明」の脚本も手掛けていました。さらに、NHKドラマ「正直不動産」の劇場版の制作も発表され、その脚本も「おむすび」と同時期に執筆していたと考えられています。

朝ドラは半年間という長期にわたるストーリーであり、通常、担当する脚本家は作品の完成度を高めるために朝ドラの脚本執筆に専念することが多いとされています。しかし、根本氏は他の作品の脚本と同時に、原作のないオリジナルの朝ドラの脚本も執筆する判断をしました。この結果、「おむすび」の脚本は内容が浅いものになってしまったという指摘もあります。

制作現場の混乱は、撮影スケジュールにも影響を及ぼしました。ヒロインの2週間の不在は、予定していた橋本環奈の収録がどう調整しても実施できなくなったことを意味しています。制作陣は慌てて脚本変更を行い、スピンオフ撮影や大物俳優のゲスト出演で対応せざるを得ない状況に追い込まれました。

さらに、通常のクランクアップでは、セットで共演者に囲まれての花束贈呈が恒例となっていますが、今回は橋本環奈一人での報告となりました。この異例の形式に、「まだ撮影が残っているのではないか」という疑問の声も上がっています。

制作の実態について、視聴者からは「すべてのエピソードが浅い感じがします。糸島も、ギャルも、震災も、神戸も、栄養士としての成長も」という声が寄せられています。また、「月曜に厄介な人が登場、木曜くらいに主人公の言動、行動で万事解決、金曜には大団円で厄介な人がいい人になって退場」という、ワンパターンな展開への批判も目立ちます。

病院を舞台にした展開で噴出する視聴者の不満

「おむすび」の物語が病院を舞台とした展開に移行してからは、視聴者からの違和感の声が一層強まりました。特に、主人公・結が管理栄養士として働く大阪新淀川記念病院での日常描写には、多くの疑問が投げかけられることとなりました。

最も顕著な問題は、病院内での専門職の描写方法です。結は管理栄養士として病院で働き始めて4年目を迎えているにもかかわらず、上司から「経験無いなら積めばいい」とか「仕事に絶対慣れないこと」と諭される場面がありました。視聴者からは「新人じゃあるまいし、今更という感じ」との声が上がっています。

また、患者への対応にも現実離れした描写が目立ちます。患者の家族が担当の栄養士を替えてくれと要求するシーンについて、実際に入院経験のある視聴者からは「あり得ない」との指摘が相次ぎました。さらに、食事の変更についても、「ちょっと待っててと、お粥持ってくるし…看護師さんが確認して調理場に届け出して、早くてもその日の夕食からでしょ。そんなの入院した経験無くてもわかる」という批判が寄せられています。

医療の専門的な描写においても、多くの矛盾点が指摘されています。すい臓の手術をした患者の症例では、「食欲もあるし味もわかるけど、何か食べられない」という訴えに対し、嚥下状態を診る専門技士がライトも当てずにサラッと口腔内を見ただけで「入れ歯が合ってない」と診断を下すシーンがありました。歯科医師でもこのような簡単な診察では義歯不適合の診断はできないという指摘もあります。

結の接遇マナーについても疑問の声が上がっています。言葉遣いや年上の患者へのタメ口、大部屋での他の患者への配慮不足など、4年目の管理栄養士としては見ていられない部分が多いとの指摘もありました。

さらに、医療チームの連携の描写も不自然さが目立ちます。外科医の蒲田令奈が「私の仕事はここまで、あとは米田の仕事だ」と発言するシーンでは、「まるで管理栄養士に丸投げか」という批判が集まりました。結自身も後から「これから医師看護師と連携を取りながら」と言及していますが、視聴者からは「今まで連携取ってなかったのか」という疑問の声も上がっています。

このような医療描写の問題について、視聴者からは「素人以下の知識の脚本」「医療監修、パワハラ等のモラル検証もしていない」という厳しい評価が下されています。中には「NHK、お金も技術力も人選もあるはずなのに、ここまで意味不明のドラマ作れるのが逆にすごい」という皮肉めいた感想も見られました。

制作サイドの姿勢についても「脚本家さん、頭の中整理できていないんじゃないですか。こんなもんでいいだろって、あまり視聴者をバカにしないでほしい」という声が上がっており、医療現場を舞台にした作品としての基本的な調査や理解が不足していたことへの不満が噴出する結果となりました。

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