今田美桜が描く朝田のぶの魅力と走りの演技力
NHK連続テレビ小説『あんぱん』で朝田のぶを演じる今田美桜さん。4月14日からいよいよ本格的に登場し、多くの視聴者の期待を集めています。「韋駄天(いだてん)おのぶ」の異名を持つヒロインを演じるにふさわしい人物として、歴代最多3365人が応募したオーディションの中から選ばれました。
倉崎憲チーフ・プロデューサーは、今田さんを選んだ理由として「涙が自然と出てきたのが今田さんでした。今田さんの芝居がシンプルに心に来た」と語っています。特に注目すべきは、今作のヒロイン選考で”異例”となる「走りのテスト」が行われたこと。朝田のぶは県大会でも優勝経験のある走り手という設定で、劇中では疾走シーンが重要な要素となるからです。
最終候補者15人の中で、今田さんの走りを見た瞬間「あ、のぶっぽい」と直感したという倉崎氏。「映像を通して疾走感を持って、のぶのキャラクターを反映させてくれる人だ」と感じたそうです。実は今田さんは学生時代にミニバスや陸上部に所属していた経験があり、その経験も役作りに活かされているようです。
撮影が始まって5ヶ月経った今でも、大事なシーンや1日の撮影最後のシーンが終わった後に、現場で自然と拍手が起きるという雰囲気を作り出しているのも、今田さんの魅力のひとつ。「ただ今田さんが毎日そこに笑顔で楽しそうにいてくれるだけで、場が明るくなるような力を持っている。座長として最高のヒロインです」と倉崎氏は賛辞を贈っています。
永瀬ゆずなちゃんが演じた子役時代ののぶも素晴らしく、特に土佐弁の表現が自然で魅力的でした。その後を受け継ぐ今田さんにも高い期待が集まっています。視聴者からは「爽やかな笑顔がとてもいい」「表情の作り方も上手い」と早くも好評の声が上がっています。
下駄を履いて走るシーンは足が痛くて大変だったことでしょう。しかし、そんな苦労も感じさせない自然な演技と、のぶの溌剌とした性格を体現する存在感は、これからの『あんぱん』の見どころとなりそうです。
実際の小松暢さんも美人だったそうで、アンパンマンのキャラクター「ドキンちゃん」のモデルとも言われています。今田さんのぱっちりした目がドキンちゃんに似ているという声もあり、配役の妙を感じさせます。
今田美桜さんは近年、演技力も大きく成長していると評されています。『悪女(わる)』などのドラマでは、それまでのイメージとは異なる役柄も見事に演じ切り、多くの視聴者を魅了しました。『あんぱん』では天真爛漫な性格と芯の強さを兼ね備えたのぶを、どのように表現していくのか楽しみです。
これから始まる”本編”では、時代の荒波に立ち向かうのぶの姿が描かれていくことでしょう。「女性はこうあるべき」という時代の価値観に挑んでいく姿は、前作『虎に翼』とも共通するテーマかもしれません。今田美桜さんの演技で、どのように物語が展開していくのか、目が離せません。

嵩の初恋と切なさ溢れるジェラシーの物語
NHK連続テレビ小説『あんぱん』は第3週に入り、俳優陣も子役から大人の俳優たちへとバトンタッチされました。やなせたかしさんをモデルにした柳井嵩を演じる北村匠海さんにとって、この週は大きな転機となる場面が描かれました。中でも特に印象的だったのは、嵩がのぶと貴島中尉のやりとりを見て感じたジェラシーの感情です。
第11話では、高等女学校5年生となったのぶが貴島勝夫中尉と再会するシーンが描かれました。貴島中尉はのぶの幼なじみで、「カッチャン」と呼ばれる親しい関係。お祭りでのパン食い競走に使うあんぱん200個の注文を受け、朝田パン開店以来の大仕事に朝田家が活気づく中、のぶと貴島の親しげな様子を見た嵩は思わぬ感情に襲われます。
「のぶと貴島さんと一緒にいる姿を見て、嫉妬心を覚えた崇さん。いずれドラマの中で、誰であろうと自らを犠牲にしてでも無償の愛を注ぐアンパンマンを描くことになるであろう崇さんも、若い頃にはジェラシーに苦しんでいたという設定は、たいへん興味深いです」と視聴者からのコメントにもあるように、将来アンパンマンという無償の愛を体現するキャラクターを生み出す人物の、純粋で切ない初恋の感情に多くの人が心を動かされています。
胸の痛みを訴えて柳井寛(叔父さん、竹野内豊)の診察を受ける嵩。しかし寛は「この胸の痛みは治療できん。ドイツ語でNeid、フランス語でenvie、英語でJealousy。世界中の人々が経験する、厄介な病気や」と見抜きます。まだ自分でも気づいていなかった感情に名前をつけられ、嵩は悶々とした気持ちを抱えることになります。
視聴者からは「初めてのジェラシーに身悶えする嵩くん、かわいすぎ」「中尉を見る嵩の表情、爆笑しちゃった」といった声が上がっています。「胸の痛みに驚いて診察受けたのかー 純真だなあ」「嵩君を冷やかしたりしない寛伯父さんがまた素敵だ」など、嵩の純真さと、それを優しく見守る寛の姿にも温かい反応が寄せられています。
貴島中尉の出現により、嵩は今まで意識していなかったのぶへの特別な感情に気づき始めます。この恋のライバルの登場は、物語に新たな展開をもたらすでしょう。朝ドラでは定番とも言える三角関係の始まりとも言えるこのシーンは、視聴者に「頑張れ嵩」と応援したくなるような感情を引き起こしています。
北村匠海さんの繊細な演技も見どころです。「嵩は貴島中尉の事を知らなかったようでしたよね。だから、中尉とのぶは、嵩が引っ越して来る前に一緒に遊んでた仲なのだろうと想像しました」「嵩と貴島が小学校時代に知っていた仲だったら、あんな風に嫉妬(ジェラシー? 笑)しなさそうです」といった視聴者の考察も見られ、キャラクター設定への関心も高まっています。
また、8年経った柳井家の変化も興味深いポイントです。「病弱そうだった千尋は立派に成長し、兄の嵩よりも体格が大きくなってました」「優しかった千代子は千尋には医者を継ぐことを当然とし、嵩にも漫画なんか描いてないで・・と遠慮が無くなって口うるさくなってました」といった変化も描かれ、家族関係が深まる一方で、新たな葛藤も生まれています。
このジェラシーの物語は、今後どう展開していくのでしょうか。「のぶがはちきん(勝ち気)設定」とある通り、女性の自立心と男性の保守的な価値観の対立も描かれていきそうです。「貴島が卒業してその後疎遠になっていたとか」という視聴者の推測のように、それぞれの登場人物のバックストーリーが少しずつ明らかになりながら、物語は進んでいくことでしょう。
将来的には結ばれる運命の二人ですが、その道のりにはさまざまな試練があるはず。「結ばれるとわかっていてもヒヤヒヤワクワクします」という声に代表されるように、これからの展開に多くの視聴者が期待を寄せています。
貴島中尉の登場で変わる物語の展開とライバル関係
NHK連続テレビ小説『あんぱん』の第11話で、貴島勝夫中尉というキーパーソンが突如登場しました。彼の出現は、物語に新たな展開をもたらし、視聴者の間にもさまざまな反応を引き起こしています。
貴島中尉は市川知宏さんが演じる海軍の若き将校。のぶの幼なじみであり、子供時代は「カッチャン」と呼ばれていたようです。高等女学校を訪れた彼はのぶと再会し、お祭りのパン食い競走に使うあんぱん200個の注文を朝田パンに依頼します。これは朝田パン開店以来の大仕事となり、朝田家に活気をもたらす一方で、物語の重要な転機となりました。
視聴者からは「貴島中尉に伏線をはらせないとうんぬん、、、は、これはちょっと細かすぎる指摘だと思う」「カッちゃんて誰?子役編にも出てた?」という声も上がっています。確かに幼少期編では貴島中尉(カッチャン)の姿は描かれておらず、唐突な登場に戸惑いを感じる視聴者もいるようです。
一方で「のぶと貴島は、嵩が引っ越して来る前に一緒に遊んでた仲なのだろうと想像しました」「嵩と貴島が小学校時代に知っていた仲だったら、あんな風に嫉妬しなさそう」といった考察も見られ、キャラクター設定について様々な推測が広がっています。
貴島中尉の正体については「もし、のぶさんがドキンちゃんだとすれば、毅然とした貴島中尉は食パンマンのモデルかも」「貴島中尉が食パンマンなら、のぶがメロメロの展開になっちゃう笑。かつぶしマン説を推したい」など、アンパンマンの世界観と結びつけた想像も広がっています。
視聴者の中には「キジマ中尉、『こいつ誰やねん』でした。唐突感」と感じる人もいれば、「海兵卒、優秀組なら早ければ22歳ぐらいで中尉にあがりますから、高女5年生ののぶちゃんとは年齢差5、6歳といったところでしょう」と時代背景を踏まえた考察を行う人もいます。
貴島中尉が祭りの前日に朝田家を訪れた際、優勝賞品がラジオと知ったのぶは出場を志願し「女子は出たらいかんという規則ながですか」と質問します。これに朝田釜次(のぶの祖父)は叱責しましたが、この場面からも「女性はこうあるべき」という時代の価値観に挑んでいくのぶの姿勢が垣間見えます。
第12話では、パン食い競走の場面が描かれるようです。記事には「嵩、のぶにタスキを預け…後方から走ってきたのは?」とあり、ここでも貴島中尉が重要な役割を果たすのではないかと予想されます。
貴島中尉の存在は、史実との関連でも注目されています。「小松暢さんの最初の夫・総一郎さんは軍人ではありませんでしたが、1912年生まれということです。ドラマの現在時制は1934年なので、年齢的にはキジマ中尉さんとだいたい同じくらい」というコメントから、貴島中尉は小松暢さんの最初の夫をイメージした人物である可能性も示唆されています。
「史実じゃ、のぶは一度他人と結婚するがやぞ。たかしには耐えられんちやー」というコメントもあり、これは実際の小松暢さんが最初の結婚後に離婚し、その後やなせたかしさんと再婚したという史実を踏まえたものでしょう。
貴島中尉の登場により、のぶと嵩の関係性、そして物語の展開が大きく変わりそうです。「のぶがはちきん(勝ち気)設定とはいえ、ちょっと今田美桜の目が恐いかな。芯の強さは欲しいけど、外見がバキバキなのは見ててしんどくなる」という懸念の声もありますが、「恋わずらいだけは医者でも治せぬ不治の病。(笑) 将来的には2人は結ばれるのだから嵩もそこは幸せ者だ」と、最終的な結末を知りつつも、その過程を楽しみにしている視聴者も多いようです。
これからの展開では、貴島中尉との関係性を通して、のぶの成長や時代の中での女性の生き方がどのように描かれるのか、注目されています。「いよいよハチキンおノブ復活?」「のぶが怪我させた、でかいお屋敷に住んでた子?」など、貴島中尉の正体に関する疑問は尽きませんが、これからの物語の展開の中で少しずつ明らかになっていくことでしょう。
SNSの批判から見る朝ドラの楽しみ方と時代表現の課題
NHK連続テレビ小説『あんぱん』が第3週に突入し、子役による幼少期編が終了して、いよいよ”本編”が始まりました。これまでの評判は良好でしたが、SNSでは早くも演出や脚本に関する疑問点が指摘されています。朝ドラのSNS上での楽しみ方や時代表現の課題について考えてみましょう。
「近年の朝ドラは、良くも悪くもSNSでツッコミどころを探すという楽しみ方が定着しつつありますよね」とテレビ誌編集者は語っています。実際に『あんぱん』でも、存在しない機関車、石窯がすぐに完成する場面、子どもが余裕で10キロ徒歩で歩くなど、演出や脚本に関してSNS上で指摘する声が上がっています。
朝ドラとSNS、特にXでのツッコミの代表例としては、直前作の橋本環奈主演『おむすび』と、黒島結菜主演『ちむどんどん』が挙げられます。両作とも脚本や演出が”雑”と言われ、ツッコミどころも多かったことから、毎朝ハッシュタグ《(ドラマ名)反省会》で盛り上がったようです。
しかし、この「批判」に対して、別の見方をする視聴者も多くいます。「一番大事なのは、物語やキャラクターがきちんと作られていて、共感/感動できるかどうか。そこが大丈夫なら、面白いトリビアとして『あれ違うんだよ〜』と盛りあがることはあっても、『雑だよね』と怒ることにはならない」という意見は、多くの視聴者の気持ちを代弁しているでしょう。
「昭和初頭だから蒸気機関車が走っていればいいし、石窯だって頑張ったんだなぁと思えばいい」「あんぱんのツッコミ処はさり気なく置かれた布石とか伏線、隠しキャラ、名作ドラマへのオマージュシーンだと思っている」と、寛容な気持ちで見る視聴者も多いのです。
「面白がって喜びながらツッコまないとアカン」「優しい気持ちを持って、大事なとこはちゃんと見落とさずに、泣けるとこは泣いて、笑えるとこはしっかり笑って、寛大な気持ち、優しい気持ちを持ち続けて、ドラマ相手にいちいち怒らずにマジにならずに笑ってあげて欲しい」という意見にも、共感できる方が多いのではないでしょうか。
また時代設定についての指摘に対しては「あの頃の東京の子は、等々力渓谷まで徒歩で遠足だもの」「10キロくらい普通に歩けますよ。まして昔の子どもなら。ちなみに早足歩きで5キロ1時間」などのコメントがあり、現代の価値観で昭和初期の生活様式を見るのは適切ではないという意見も見られます。
「汽車は、当時のものをロケで再現なんて現実無理だからね。イメージに近いものをロケハンで探したんでしょう?これは超巨大予算のハリウッド映画でもない限り、昭和の時代からああでした」「SLとか本物作ったらいくら費用がかかると思っているのか。それだけで数億円はかかるのでは?」と、制作側の現実的な制約を理解する声もあります。
興味深いのは「『結婚したら片目を閉じよ』という言葉、ドラマの視聴にも通じるものがある」というコメントです。「『カムカムエヴリバディ』でも第3部『ひなた編』で当時存在しないハイブリッド車が画面に映り込み、カムカムアンチはここぞとばかりコメント欄で盛り上がったが、そういう時、カムカムファンは片目を閉じて見なかったことにする。ドラマ自体が面白ければそれでいい」と、ドラマを楽しむ姿勢について語られています。
『陸王』でも「『豊橋国際マラソン』なのに埼玉県行田市内の道路を走るシーン」があったが、「『陸王』ファンは敢えてそこはツッコまない。ドラマが面白ければそれでいい」という例も挙げられています。
しかし一方で「Xでのあんぱん批判は、細かい設定への批判ではなく、脚本や演出に、職人に対する、実在にやなせ先生や暢さんに対する、視聴者に対するリスペクトがないことが理由だと思う」という指摘もあります。つまり、「おかしなものをちゃんとさせたい」ではなく、「誰かをいやな気分にさせたい」が動機になっているという懸念です。
「みなさまと同じでこれはわかってない記事。SNSをネタにしたいだけ。突っ込む側は別に常に重箱の隅を突きたいわけではない。面白いものが見れればいい。面白くないのに半年続いてしまうから突っ込み、ネタ探しになるのだ」といった反応もあり、批判の本質について考えさせられます。
「朝田家は米にも不自由していたのに、なぜ材料を工面できたのでしょうか?」「確かに後免駅と名前は似ていますが実在しない御免与駅から高知までの距離なんて誰も知らない」など、物語の設定そのものへの疑問も呈されています。
最終的には「ドキュメンタリーとドラマは違う。朝ドラはヒロインの生き様と思いやりのバトンタッチを魅せるドラマ。朝ドラは見るものにあらず登場人物の心を読み解くものである」という意見に集約されるように思います。
ドラマは歴史の完全な再現ではなく、物語として楽しむものです。細部への指摘を楽しむことも一つの見方ですが、「全てのことで完璧を求めると、膨大な時間と費用を費やし、ドラマを作れない、見れないことになってしまう」という現実も忘れてはならないでしょう。
『あんぱん』を通じて、朝ドラの楽しみ方や時代表現の課題について、あなたはどのようにお考えでしょうか。ドラマを通して共感や感動を得るためには、どのような姿勢で見るのが良いのか、これからも考えていきたいですね。
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