朝ドラ「らんまん」十徳長屋の住人たちがいなければ成り立たないドラマ

NHK総合の連続テレビ小説『らんまん』の第16週、「コオロギラン」が放送されました。万太郎(神木隆之介)は、図譜の制作を順調に進めていますが、寿恵子(浜辺美波)はついに出産を迎えました。万太郎が植物採集で不在の間、十徳長屋の人々が寿恵子を支えました。

長屋の人々と万太郎は強い信頼関係を築いてきました。人から愛される万太郎は、長屋にもあっという間に溶け込み、差配人のりん(安藤玉恵)を筆頭に倉木夫婦(大東駿介・成海璃子)やゆう(山谷花純)たちとも絆を深めます。今や長屋の人々は家族のように万太郎や寿恵子を支えており、万太郎の生活を描く中でなくてはならない人たちとなりました。それは長屋を訪れる万太郎の知人たちも同様です。長屋の中庭に集まり食事を共にすることで、人々は親交を深めて本当の気持ちを吐露しあい、互いをより理解することができます。万太郎や、その友人たちの日常と密接に関わりあう十徳長屋の存在は、『らんまん』において重要な役割を果たしているのです。

朝ドラ『らんまん』の第16週では、長屋の人々が一丸となって寿恵子の出産をサポートする姿が描かれ、万太郎の「愛され力」で人々が結ばれ、家族のような環境が作られた。長屋をはじめとする人々が集う場所は、朝ドラの群像劇としての魅力を描く最高の舞台である。

私は昭和31年に生まれました。当時は高度成長期で、小学校では石炭ストーブが使われていました。私の周りは貧しく、家に帰るまで日が暮れるまで外で遊んでいました。私たちの隣人や地域では、醤油や砂糖の貸し借りは当たり前のことでした。桜の季節には、父の兄弟が遊びに来てくれたり、夏祭りには私たちが出掛けたりしました。このような環境で育ったことが、私にとって良かったのか悪かったのか、今でも分かりません。しかしながら、現在では父の兄弟が1人残るのみで、昭和時代も遠い記憶になりました。私は戦争が起こることなく、平和に過ごせる令和の時代を心から祈っています。

植物学教室の面々には、それぞれモデルがいたので、まだ描きやすかったかもしれません。 それに対して、十徳長屋の人たちは、堀井丈之助以外は全てモデルのいない中で、創り出されたキャラクターばかりです。 こんな面々ばかり揃えられたのは、よく考えられたものだと思います。

しかし、私が一番素晴らしいと思ったのは竹雄でした。 実は、竹雄は実在する2、3人のモデルをミックスしたキャラクターであるが、植物学教室の面々のように、何かを成し遂げたわけでもなく、資料も乏しい。 ほぼ創作のキャラクターであるが、前半戦の準主役として、あれだけドラマ展開の中で輝いたのは驚くべきことだった。

実在のモデルがいるキャラもいれば、そうでないキャラもいますが、一人一人の生き様を見ることができます。 「らんまん」は本当に丁寧に作られた作品だと思います。

中には取り立てたストーリーと場面展開のドラマもありますが、『らんまん』では、十徳長屋の皆さんが事あるごとに洗濯や料理、外出の準備をしながら、それぞれの人柄や仲の良さが描かれています。

そのため、妊婦の寿恵子さんが1人残されて「許すまじ、槙野万太郎!」と思っても(笑)、長屋の皆さんが助けてくれるだろうと安心して見ていられました。

万太郎さん夫妻だけでなく、藤丸さんも、波多野さんも、大窪さんも、長屋の皆さんと和気藹々で、昔ながらの近所付き合いは面倒くさいところもありますが、いいなと思います。

『らんまん』は本当に素晴らしいドラマです。

万太郎が人として、倉木隼人を救ったことは大きかった。盗まれたトランクを100円で買おうとし、「この世に雑草はない。みんな名前がある。生きる意味がある。」と言って、隼人を変えることができた。もしその時万太郎がいなかったら、倉木家は浮いたままだったろうし、倉木家のメンバーとは馴染めなかったかもしれない。万太郎は人情味に溢れ、みんなから好かれる魅力がある。そして、長屋の住人たちとの信頼関係が築かれ、植物採集旅行にも行けるようになった。倉木の娘も面白く、洗濯などの家事もお母さんと一緒にしていたようだ。また、寿恵子の大きなお腹には興味津々だった。みんな、それぞれに悲しい過去もあるけれど、たくましく生きている。倉木家には人情味のあるメンバーが揃っていて、本当に良かったと思う。

このドラマでは、十徳長屋の人々だけでなく、全ての登場人物の性格や気持ちが丁寧に描かれており、それぞれが愛されるキャラクターを持っています。ストーリーも含め、こんなに綿密に作られた朝ドラマを見たことがありません。明日以降の放送も楽しみにしています。

万太郎に最も良い影響を与えた人は、倉木さんだと思います。

万太郎が倉木さんに100円払うと言ったことは、普通では考えられないことだと思います。自分から大金を払って盗まれたものを取り戻すと言ったわけですから。そのため、倉木さんは最初、「施しのつもりか」と万太郎に問いただし、それに対して万太郎は「100円は資料の価値」と答えました。

倉木さんは、100円を返す時に、「施しじゃねえぞ。お前が戦うために使ってほしい」と言って渡しました。ただ返すだけでは、万太郎の行為を否定することになるため、倉木さんは万太郎が言った資料の価値に見合う時に、万太郎が本当に必要とする時に、この100円が使われるべきだと考えたんだと思います。倉木さんは万太郎の言葉を尊重し、万太郎の気持ちに寄り添ったから、そのような言葉が出たのだと思います。

万太郎の行為同様、倉木さんの行動も普通では考えられないですが、そこには倉木さんの優しさと万太郎への感謝の念が感じられました。

寿恵子さん、ご出産おめでとうございます!妊婦の時でも重い物を持ったりすることが心配でしたが、案外よく動くことが体には良かったかもしれませんね。初産で万太郎さんは近くにおらず不安だったと思いますが、大畑印刷の内職の斡旋や普段の生活、そして出産の時も長屋の皆さんが本当に力になってくれました。経験のある女性陣はテキパキとそれぞれ面倒を見て、男性達は家族のことのように外で集まり心配していました。そこへ草花通信が通じたのか、万太郎が産まれるのに間に合うタイミングで帰ってきましたね。そして無事に産声が聞こえた時の万太郎をはじめ、皆の喜びは本当に家族のようでした。十徳長屋は貧乏人ばかりかもしれませんが、心は豊かな人たちが集まっています。

いや、ほんとに十徳長屋いいわ〜。元々仲の良い人たちだったんだろうけど(倉木ダンナ除く)。まあ、リアルで言うと、そこまで貧しくない人たちだろうから、他人に優しくできるし、食べ物や酒を振る舞ったりできるんだろうね。

「らんまん」はとても好きな朝ドラです。万太郎を中心に集う人たち、それぞれの人生がしっかりと描かれており、ほっこりします。価値観が多様化している現代においては、ややステレオタイプ感はあるものの、身分、学歴、ジェンダーなど、さりげない問題提起も感じられます。これからも楽しみにしています。

史実では牧野先生は子沢山で経済的には恵まれず引っ越しを繰り返すようですが、本作はあくまでも実話を元にした創作なので引っ越しはしないで欲しい。物語も3分の2が進んでおり、長屋の人に代わる新たな支える人物を登場させるのも難しいし、何よりも長屋の人々が愛おしいです。

スエコ出産時の長屋連係プレー。おにぎりがリアルでした。助産師気取りのりんさんも頼もしく、ご近所付き合いも悪くはないと思いました。

田邊邸・峰屋・長屋といった夜の暗いシーンが素敵で、庭では色温度が高く、屋内は低く演出されていたことが素晴らしいと思いました。

最近の核家族やプライバシー尊重の住まいといった現代の生活様式とは対照的に、大家族や長屋など昔ながらの生活が排除されて久しいですが、いいところもあるなと思いました。私のご近所も長年住んでいる人が多く、都会にもかかわらず昔ながらの近所付き合いがあります。かったるいときもあるけれど、ほどほどに付き合っています。

朝ドラではいつも人々が集まる場所が設定されていて、「なんでプロポーズするのがこの店?」「ここで披露宴もやるの?」など無理矢理感が時々あるんですが、『十徳長屋』は自然ですね。

朝ドラで喫茶店などがよく出てくるのはそういう理由なんですね。お金がかかるのに高校生などが屯しているのにいつも違和感を覚えますが、長屋の井戸端は自然でいいです。

フィクションであることは前提としても、あの長屋の人間関係を見ると、本当の幸せはお金の問題じゃないなと改めて思います。

一方、現実には、濃密な人間関係は大変な部分もあるのも事実ですからね。

何だかんだ言いながらも、多くの日本人は性善説を追い求めているのかもしれません。

寿恵子の出産シーンを見ていて、「「向こう三件両隣」とは将に良く言った物だ」と思いました。

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