朝ドラ「らんまん」野宮さん(亀田佳明)が元画工というだけで・・・

第112話では、竹雄(志尊淳)と綾(佐久間由衣)の屋台「土佐」が故郷の味を提供していることがあり、万太郎(神木隆之介)と虎鉄(濱田龍臣)は大喜びしました。箸休めに出された高知のヤマモモの甘露煮には、寿恵子(浜辺美波)も感動したようです。竹雄は「綾の夢」である新しい酒を造るために、醸造学の先生を探していると話しています。話を聞いた藤丸(前原瑞樹)は…という展開になっています。

藤丸は「あと1杯」を頼み、屋台に残っています。万太郎と2人きりの帰り道、波多野は野宮(亀田佳明)が「辞表を出すつもりらしい」と打ち明けたようです。

波多野と野宮は、イチョウの精子を発見しました(第110話、9月1日放送)。波多野は、「まだ世界から疑われるのはいいんだ。日本は植物学の後進国だし。でも本当にひどいのは、この日本国内だったんだ。第一発見者が元画工。認めないって」「僕が研究して、お膳立てして、それをたまたま覗いただけだろうって。外国向けの論文を書いたのも僕だ。だから僕一人の功績にしろって」「言ったよ。野宮さんを第一発見者として認めないのは、僕が許さない。僕一人なら、大学だろうが学会だろうが、あらゆる賞を辞退するって。でも、僕は農科大学の教授に任命された」「もう僕は受けた」「結局、僕は野宮さんを見捨てたんだ」と苦悩していました。

虎鉄くんが万太郎の3代目助手としてお寿恵ちゃんの立ち会いの下で襲名されましたね。石版印刷の次なる印刷方法に関する情報を、虎鉄くんが大畑印刷所から仕入れてくるのではないでしょうか。

波多野さんは野宮さんのことを大切に思っているようで、その優しさに感動しました。野宮さんは田邊教授から厳しい言葉を浴びせられて苦労してきたので、幸せになって欲しいですね。

また、藤丸さんが綾の新しいお酒を完成させるため、醸造に関する研究をしているようです。そして、将来的にはその分野の教授になるのでしょうね。

パイオニアとして新しい分野に挑戦し、新発見をするという快挙に対して、それまで植物学の先頭を走っていた諸外国からは疑いの目が向けられました。また日本でも、万太郎が学歴がないことを理由に田邊教授が「誰もお前のことを認めない」と言ったのと同じように、野宮さんが画工出身であるということで功績を認められなかったのです。

人の思いが成就した素晴らしい結果を、そのまま受け取らず悪く取ることがあるのを聞いて、情けないような、寂しいような気分になりました。しかし最後に、皆が見上げる先に月があり、各人の思いは違っていても、どこかでつながっていることが示され、暖かい気持ちがしました。

日本は昔から学歴至上主義ですからね。学歴のない人は認められない、という考え方があります。また、権威のある人たちが学歴のある人たちばかりであるため、学歴のない人が認められることになると、自分たちの努力が否定されるように感じることもあると思います。だから、今でもまず世界で認められて、後から日本でも認められる日本人がいるのです。野宮さんや万太郎が説得することができるでしょうか?綾さんのお酒造りに藤丸が協力することとともに、今日の話は色々なターニングポイントになっている気がしますね。

波多野さんのモデルは池野成一郎という方ですが、後に帝国学士院恩賜賞の受賞が決まった時、イチョウの精虫を発見した平瀬作五郎氏(野宮さんのモデルと思われる)が受賞しないならば不公平だと主張したため、両氏が受賞することになりました。

帝国大学を辞職後、平瀬氏は滋賀県彦根市や京都市の中学で教鞭を執られたそうです。

波多野さんは、自分なりに筋を通したのではないでしょうか。農家大学の教授という立場はまた別の問題です。野宮さんはちゃんと分かっていると思います。しかし、イチョウの精虫の第一発見者は野宮さんです。どうにかして報われることを願います。

山桃が箸休めになるんですね!

虎鉄「大畑印刷所の夜勤に行きますき」 いつの間にか大畑印刷所で働いているのでしょうか。

波多野「第一発見者が元画工、認めないって」 野宮さんは悔しかったのでしょうね…

悲しい満月、寂しい満月、嬉しい満月。一つの満月だけでも、役者によって様々な表現をさせる脚本は素晴らしいですね。

この頃の植物学界は、大きな自己矛盾に陥っていると感じます。権威主義が過ちの大きな原因だと思いますが、学問のフィールドは自由で開かれている、という思想が決定的に欠落しています。 徳永教授は、植物標本を充実させ、植物の基盤研究よりも最新の植物研究を優先させました。これでは、植物学を志す人口は増えず、先端研究者の数も増えないはずです。本来なら、植物学の入り口である植物標本に興味を持ち、基盤から植物学に入るべきですが、現実にはまだ充実していないのです。 さらに、画工上がりや小学校中退というレッテルで植物学上の成果を評価するという愚かさがまかり通っている学界。ますます、世界から遠ざかっていくように思えます。

この時代(明治30年前後)は、まだまだ大学と言えば「帝国大学」(現在の東京大学)しかなく、やっと京都帝国大学が開学した頃でした。 私立大学も、まだまだ「大学」とは呼ばれず、「専門学校(旧制)」と呼ばれるもので、それらがやっとポツポツ開学した頃でした。 今の感覚では想像がつかないですね。 このドラマは「あさが来た」とほぼ同時代で、他の朝ドラに比べたら相当昔の話です。 その少し後の時代、「マッサン」の頃は、京都大学に醸造学研究の場が現にあったし・・・ そう考えると、万太郎や野宮が「学者」を名乗ることは、相当ハードルが高かった時代だったのでしょうね。 今の時代だったら、この両者は楽々、どこかの大学の教授になっているでしょう。 実際、万太郎のモデルだった富太郎博士は、「大学講師」止まりで教授にはなっていません。 そういった時代だったのだと思います。

この時代、日本の医学界では「脚気論争」が起きていました。陸軍に多数の脚気患者がいた原因は何か、という問題について、陸軍医の森鴎外は細菌が原因だと考え、一方で海軍医の高木兼寛は栄養不足こそが原因だと考えていました。高木が海軍の食事を改善したところ(海軍カレーはその産物)、脚気患者は劇的に減少しました。しかし、東京帝国大学医学部卒でドイツのコッホ細菌学に学んだ超エリートの森は鹿児島医学校出身の高木を軽視し、その成果を認めず、有効な手を打たなかったため、日清日露戦争でも陸軍から大量の脚気患者を出すことになってしまいました。

後に、東大農学部の鈴木梅太郎が、米糠から脚気を防ぐ成分の抽出に成功し、オリザニンと名付けました。これは世界的な大発見でしたが、東大医学部は農学部の鈴木を軽視し、その成果を認めず、外国の学者によって米糠の栄養素がビタミンB1として命名され、発表されました。ビタミンの発見は日本人のはずでしたが、東大を頂点とする権威主義や学歴主義がすべてを葬り去ってしまったのです。

この朝ドラは成功物語でも英雄物語でもありません。明治時代の社会の重圧と、そこで生きる人々の喜びや苦悩が、さりげなく描かれています。主人公の万太郎は確かに植物学者・牧野富太郎をモデルにしていますが、全くの別人格であり、誰かを幸福にするわけでも、時代を切り開くわけでもありません。彼は自分の好きな植物を全て明らかにしたいという誇大妄想の変人=オタクであり、その代わりに大活躍するのは妻の寿恵子です。彼らの間にはただの愛ではなく、オタクであることの同志愛があるでしょう。十徳長屋は(おそらく)脚本の長田さんの創作でしょうが、登場人物が集まる演劇的な場として描かれ、時代の波にうまく乗れない人々の避難所にもなっています。現在の展開でも、野宮さんのエピソードで時代の圧の強さが見事に描かれています。たった15分のシーンでも、物語は濃密に進みます。史実では、東大から博士号を取得した直後に万太郎の妻は亡くなりましたが、このドラマでは、今後どのように展開するのかが楽しみです。

野宮さんが辞表を提出し、波多野さんが憤慨する様子が描かれました。また、藤丸さんが醸造研究に挑戦する姿や、竹雄と綾の酒造りが再開される様子、お寿恵さんの出産と開業が紹介されました。全員が同じ月を迎え、新たな気持ちで臨む姿が印象的でした。意義のある放送回で、感銘を受けました。

今日も見応えがありました。 苦しみもあれば、希望もあります。 一人一人の心情がよく分かり、 辛くもあれば、嬉しくもあります。 皆さんが良い方向に向かえば良いと思いました。

徳永教授は野宮さんの辞表を受理するのでしょうか? 波多野君は決して見捨てたわけではありません。見捨てるようにさせられただけです。 もし田邉教授がまだ教授だったら、どういう判断をされたのでしょうか?

野宮さんのイチョウの精子発見は世界最先端なのに、認めてもらえないとは残念です。

万太郎は小学校を出ておらず、自費出版した雑誌の自称植物学者ですが、世界的に権威あるロシアのマキシモヴィッチ博士と文通し、世界中の学者から一目置かれています。しかし、東大からは出入り禁止にされています。

昔から日本人は形式にこだわって新しいものを認めないため、世界で勝てなくなってしまいました。まだ鎖国状態のようです。

最近では寿恵子の出番が多くなってきました。寿恵子が主役のようで、万太郎の存在感が非常に薄くなっています。寿恵子演じる浜辺さんは、正直なところ演技力に疑問符がつきます。笑う時に必ず口を閉じて笑ってしまい、表情のバリエーションが乏しいと思います。ドラマチックな事件も起こらず、この作品は起伏がなく、物足りない感じがします。

学歴主義というものがこの頃からあったのですね。

それはそうと、あのぶっかけそば、とてもおいしそうでした!鰹出汁が効いているんでしょうね。土佐なのに、うどんではなくそばなんですね。やまももの箸休めも気になりました。

この頃の権威主義は最悪で、森鴎外はドイツで実績を挙げた北里柴三郎や農芸学者の鈴木梅太郎のノーベル賞受賞を妨害したほどであった。東京帝国大学の研究者は、東京帝国大学で成し遂げた新発見こそが日本の成果だと馬鹿にするように信じていた。らんまんの脚本家さんは、よくお分かりだなぁ。

野宮さんが辞めたら一番困るのは大学だろうに。日本で(世界で)一番の顕微鏡の映像を紙に書ける画工兼植物学者だと、徳永教授は自分で言っていたじゃないの。万太郎にやらせよう、とか思っているの?

自分たちと同じプロセスを踏んでいない人が評価されるのが嫌なんだろうな。今も昔もエリートだから良いってわけでもないね。

らんまんいいね。一人一人の悩みがあるけれども、自然はそれらを包み込むかのように一つで大きく、まさに日本人の気質に合っている。

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