連続テレビ小説「虎に翼」第33話。猪爪寅子(伊藤沙莉)と再会した花岡悟(岩田剛典)は、婚約者・小高奈津子(古畑奈和)を連れていて
なんだかひどいというよりも、さすが花岡さんだなと思ってしまいました。お父さんのお世話だけでなく、自分自身の身の回りの世話まできちんとしてくれる人と寅子さんは別の存在として割り切って考えたのだろうと理解したいです。陰ながら応援していた、よねさんが特にショックを受けていましたね。世間の地位や信頼を得るために結婚するのは少し悲しいですが、優三さんに白羽の矢が立つことを期待したいと思います。恋愛ドラマであれば悲しい場面ですが、はるさんと直言さんのおかげで笑うことができました。
私が今日一番面白かった場面は、寅子さんが見合いをしたいと言ったときの両親のリアクションでした。現代の感覚では、特に弁護士のような職業の女性が結婚を望んでいても、仕事を辞めるつもりなのかとはあまり思わないでしょう。しかし、この両親は寅子さんが弁護士を辞めるものだと思い込んでしまいました。私自身も現代の価値観を持ちながらこのドラマを見ていると改めて感じたシーンでした。
ああ、私、見間違えていましたね。花岡さんが佐賀に帰ったことを聞いたときのよねさんの表情とリアクションは、「寅子、あいつと別れたのか。それでいいのか。」というものでした。てっきりよねさんが密かに花岡さんに惚れていたと思ってしまいました。また、花岡さんとの別れが私の想像以上に寅子さんにとって深いダメージとなっていたことにも驚きました。両親もすでに付き合っている前提で理解していたようです。
さらに、当時の結婚観についても考えさせられました。結婚して初めて一人前という価値観は男性側にも厳然と存在していました。ましてや女性が男性社会で戦っていくためには、信用を得るための一つの武器として既婚であることが必要な世の中でした。寅子さんにとってはまさに地獄の道のりでしょう。結婚相手は誰でもいいと言っている崖っぷちの感じが伝わってきます。がんばれ、寅子さん。
自分の地位向上のための結婚は、昔から男性側の結婚の理由の一つとして行われていました。それを寅子さんが実践することに文句はありません。ただ、今は目の前の仕事のことしか考えていないようにも見えます。長い人生を共にするのです。「誰でもいい」と言った寅子さんですが、今こそ冷静になる必要があると思います。
よねさんと轟さんが竹本でいつも並んで座っているのを見ると、戦火の中でもほっこりします。寅子さんには優三さんがいます。絶対に支えてくれるはずです。はるさんも直言さんも、すでに息子のような存在なので安心だと思います。
視聴者としては「たった1日で!?」と思える展開ですが、実際には1年近くが経過しています。当時の彼らの年齢や時勢(富国強兵、総動員の準備?)を考えると、花岡さんの婚約は予見できたかもしれません。あの別れ方ですし、非難はできませんね。ただ、その後の寅子さんの行動には驚かされました。「結婚していないと一人前と見なされない」という考えが主な要因でした。
あの時代は「結婚=専業主婦」という認識が当たり前でした。しかし、女性(先輩)でも結婚・妊娠しながら仕事(弁護士)を続けられ、社会からも支えられるという現実を目の当たりにして、仕事を十分にできていない自分に不安を感じたのでしょう。
冷静に考えると、記者(高橋努)の言う通りで「時勢のおかげ(せい?)」で良くない状況です。しかし、よねさんが花岡さんに気があったのか、それとも寅子さんのことを心配していたのか、佐賀への移住は難しいでしょう。
はるさんの「着替えてらっしゃい。ご飯にしましょう。」という言葉に温かい気持ちになりました。奮闘する寅子さんのことをいつも優しく見守り、幸せを願っている親の存在にほっこりしました。
時代描写が非常にリアルですね。私の田舎でも最近まで25歳の独身娘を「このままでは行き遅れで恥ずかしいからお見合い相手を紹介して」とその母親がお願いしてくることがありました。今でもその名残があるので、戦前の独身女性の肩身の狭さや信頼の欠如は容易に想像できます。寅子さんも花岡さんとの件で辛い思いをしているでしょうが、時代を生きる覚悟の一歩を踏み出した今回のエピソードでは、とても頼もしく力強い姿が見られました。
「花岡さんはとても綺麗な人と婚約されました!」と聞いて思わずよろめくはるさん(笑)。内心では期待していたのでしょうね。40年前、恩師から「男は世帯を持って子供を作って初めて一人前だ」と言われたことを思い出します。この頃でもそうだったので、戦前の女性が30近くで独身となると、世間の見方も冷ややかだったことでしょう。恐らく優三さんと結婚するのでしょうが、時は昭和16年9月、もうすぐ戦争に突入する時期です。
花岡さんと寅子さんが結婚しても意見の衝突がありそうですが、優三さんと寅子さんの場合は、優三さんが寅子さんに考える時間を与えてくれそうで、優しい空間になるように思います。はて?
甘味処・竹本がお品書きが減ったと申し訳なさそうにしていたシーン、私はブギウギの伝蔵を思い出しました。あの屋台もおでんの種が大根だけになるまで頑張っていました。同じ東京の空の下で、寅子さんもスズ子さんも伝蔵さんも生きているのだと感じます。
今、優三さんは寅ちゃんのパパの会社に住み込みで働いているはずですが、従業員が社長宅には居づらかったのでしょうか。法律を理解する優三さんこそ、寅ちゃんの伴侶に相応しいと思います。
ひどいと思いますか?そもそも花岡さんは寅子さんの眼中になかったと思いますよ。久保田さんのデビューに寅子さんが立ち会わないはずもなく、偶然を装っていたのでしょう。少しでも悔しがると思っていた彼が気の毒で、その隣にいる人はもっと気の毒です。親のためと社会のため、将来同じ裁判官として対峙する時が楽しみです。
信用度のために結婚するのは少し寂しいですが、そのために利用される男性も可哀想です。しかし、男性も独身だと半人前と言われる時代なので、利害が一致すれば良いですが、男性にそんな気持ちがなければお互いに可哀想ですね。
男性が仕事のために金持ちの令嬢と結婚すると非難されることもありますが、女性の場合はどうでしょうか。
佐賀に帰る時点で、もう花岡さんとの関係は無理だと思っていました。もちろん、寅子さんが弁護士を辞めることはありませんし、遠距離恋愛は今でも大変ですが、この時代は携帯電話もなく、さらに難しいでしょう。では、寅子さんの結婚相手は誰なのでしょうか。分かっている人もいるようですが、楽しみにしているのでバラさないでください。
えー?寅子さんは花岡さんのことが少し好きだったのですか?それとも未婚のために弁護依頼がないと思い込み、逃した魚は大きかったと感じているのでしょうか。
「弁護士になりたい!」がために、匂わせの申し出を封印し、今になって「誰でも良いから結婚したい」と言う寅子さん。今の価値観で言えば、そんな結婚は相手に失礼千万な話ですが、「何が何でも弁護士になる!」という焦りが伝わってきます。自分最優先、若い時は皆そんなものです。実家から抜け出すために誰でも良いと結婚した母も、寅子さんの発想が分かるのだと思います。結婚は生きるためにするものという時代の価値観も。
すったもんだあり、最終的には優三さんと「今の価値観でいう正しく幸せな結婚」をするのでしょうか。寅子さんは先駆者です。
トドメの一撃がありました。このセリフが今日の一番ですね!それにしても寅子さん、乙女心を持ちつつも自分の在り方、この先をきちんと考えていて気持ちが良いです!
昨日、花岡さんと食事して別れる時、振り返らずに手を上げた花岡さんに別れの決意が見えました。だから今日、別の女性を連れていても当然だと思います。花岡さんは信念の男だから。そのうち分かるでしょう。
寅子さん、合理的すぎます…一緒に見ていた祖母が「自分の世代は結婚していない人は社会的信用が無かった」と言っていましたので、合理的と思うのは令和の感覚なのかもしれません。
花岡さん、婚約の報告を寅子さんに言わないのは分かりますが、轟さんに報告しないのは薄情に思えます。それだけ寅子さんに知られたくなかったのでしょう。
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