娘の優未(竹澤咲子)から優三(仲野太賀)のことをもっと教えてほしいとせがまれた寅子(伊藤)は、何を話せばよいのか分からなくなった。胸が詰まってしまい、夜に布団のなかで一人泣いてしまった。
翌日出勤した寅子。航一(岡田将生)と話していると、航一はじっくりと寅子の顔を見つめて「ゆうべ…泣きましたか?」と指摘した。
昨夜、泣いたかどうかと航一に訊かれた時、彼が少し動揺しているように見えました。その質問で思い出したのですが、家族でカルタをして遊んでいたとき、誰も寅が泣いた後のような顔をしていることに気づいていないようでした。皆、意外と寅が泣いたりしない人間だと思い込んでいるのかもしれません。河原で焼き鳥を食べながら、家の外から優未を見ながら、布団の中で声を出さないようにしながら、誰にも見られずに泣いている寅を思うと、不憫に感じます。
久しぶりにドラマで岡田将生さんを見たら、初めて見る素敵なおじ様風になっていて驚きました。今までは二枚目のイケメン俳優という認識でしたが、少し年齢が上の設定で気難しそうなキャラクターを微妙な表情で演じていて、その演技の幅が広がったことに感心しました。これからの展開が楽しみです。
デリカシーがないと言う人もいるかもしれませんが、史実ではモデルとなった三淵さんが夫を亡くした時、一晩中泣いて、そのまま大学へ講義をしに行き、学生たちがその泣きはらした顔に気づいてもらい泣きをしたという話があります。岡田将生さんが演じる役柄もトラコと同じように配偶者を失っています。悲しみについて敏感になっているため、気づき心配して思わず口に出たのだと思います。それはデリカシーがないのではなく、むしろありすぎるほどあるのです。また、自分と同じように田舎の同調圧力に困っているらしいトラコのことも気になっているのでしょう。戦争が終わってまだ数年、誰もが心の整理がつかない時代背景を考えないといけません。
今は亡き人を思い出し、辛くて弱った心を誰に理解してもらえるのか。周囲には誰もいないし、娘のこともあり、慣れない土地での仕事もあり、田舎の風習が法律より優先されるように感じます。しかし、流されずにこの習慣を修正しなければならないと思うと、周りの人たちが全て敵に見えてしまうこともあります。「四面楚歌」と感じたら泣きたくもなります。それでも、その気持ちを話して理解してもらえたらどれだけ楽になることでしょう。そんな思いがどんどん湧いてきたら、仕事に行きたくなくなることもあるでしょう。
航一がデリカシーがないとは思いませんでした。彼が気づいたことがまず鋭く、そして彼女を心配しているからこそ出た言葉です。寅子はきっとその気づきを不愉快とは思わなかったはずです。自分は我が子の心の中を見抜くことができず、何を伝えれば良いか分からない。愛する夫についてどんなことでも知りたいという娘の気持ちに気づけない。でも誰にも相談できない。そんな悩みを持ったことがありませんでした。それなのに、そんなに会ったことのない航一が一目で彼女の窮地を見抜く。彼の行動は分かりにくいかもしれませんが、的確で素晴らしいと思います。
都会育ちの寅子が、新潟での「明文化されない田舎の風習」で揉まれて強くなるのでしょう。桂場さんがそれを見越しているからすごいですね。
父親の話をせがむみゆに胸がいっぱいになって話せなかった寅子。きっとまだ悲しくて泣いてしまいそうだったのでしょう。みゆの前で泣くことなんてできなかったのだと思います。でも、泣きながらでも話してほしかったです。寅子はみゆにもっと弱い姿を見せられるようになると良いなと思いました。
新潟の人たちは良い人ばかりだという寅子の言葉に、星さんは怪訝な表情を浮かべていました。今日の放送であの時の気持ちがよくわかりました。寅子も居づらくて「行きたくない!」と子供のようにバタバタするという事態に。今後どこかで寅子が受け入れられるようになるでしょうが、しばらくは厳しい毎日が続きそうです。
いやあ、素敵ですよね。岡田さんは田舎の忖度を見抜いているし、寅ちゃんがそこで苦労していないか気にかけてくれているんじゃないかと思います。理由は分かりませんが、昨夜泣いたんだなと気にしてくれているのでしょう。それよりも、新潟って今でもそんな感じなんですよ。地元の名士だから融通を利かせろみたいなのが今でもあります。昼休みにパートのおばちゃん達と「リアルだね」って話してました。
「デリカシーがない」とは思いませんでした。むしろ人の心の機微がわかる人だと思いました。「思い出にできないほど、その人の死を受け入れられないのでしょう」という言葉にはぐっときました。そんなことがわかる人は、たとえ岡田将生のような素敵な風貌でなくても、良い人だと感じます。星航一は、表面は気難しそうで不思議な人ですが、心の中は温かくて、裁判官としての判断も的確なのでしょう。
そういえば、以前、上越新幹線の駅名を決めるときに、燕三条駅にするのか三条燕駅にするのかで相当に揉めてましたよね。新潟市民にとっては、どちらでもいいのにと思っていましたが。それにしても、お腹がギュルギュルの場面で、ゆみちゃんと打ち解けるチャンスを逃してしまって勿体ないと思いました。「悲しいとか、上手く言葉にできないよ」などと娘に言って欲しかったです。寅ちゃん頑張れ!
「ゆうべ…泣きましたか?」という母と娘の会話が原因でした。せっかく娘の優未が父の話に興味を示してくれたのだから、寅子は「また今度」ではなく「思い出すと涙が出る」とか「思い出すとつらくて考えられない」と正直に話せば良かったと思います。まだ娘との関係がぎくしゃくしています。
寅子は「あえて」空気を読まない生き方をしていますが、航一さんはその特性で空気を「読めない」人です。前者は率直で嘘がなく、やりやすい相手ですが、後者の場合は面倒だと感じることも多いです。
裁判官らしい性格を持つ航一さんは、作為がないため時折芯を突いたことを言い、その直球の言葉が周囲や相手を唸らせます。それが面白いです。あの二人がこれからどうやって距離を縮めていくのか、仲良くなるのか、想像もつかないし楽しみです。
寅ちゃんは夫の戦死からまだ立ち直っていないんですね。私の周りにはハッピーウィドーが多いので、感覚が少しずれていました。感受性豊かにして、明日から仕切り直して見たいです。でも、優三さんとは正反対の航一さんのデリカシーのなさが、彼なりの優しさなのではないかと思います。優三さんがこの立場だったら、本人から打ち明けてくれるまでは触れずにおいてあげようとするでしょうが、航一方式でグサッと来られたら、打ち明けるまでずっと観察モードで見られ続けるでしょう。ある時点でぶっちゃけざるを得なくなるでしょうね。
「支部長たるもの、一晩泣いた顔付きで出仕するとは情けない」と梅ちゃんは言って、優しくおにぎりを出しました。東京なら慰める者がたくさんいましたが、ここ新潟三条には誰もいません。優未が戸を開けてそそくさと忘れ物を取りに来て、戸を閉めただけでした。
ちょっと疑問に思いますが、通常支部長なら前任者との引き継ぎがあるはずなのに、それが全くありません。だから一から苦闘していますが、支部の引き継ぎなどを面白くするために省いたのでしょうか?
岡田将生さんのエピソードとして、10年ほど前、ドラマのメイキングで子役の女の子に「俺と一緒に暮らさない?」と声を掛けたシーンが何度も流されました。その子役は当時吉田里琴、今の吉川愛さんです。見る目がありますよね。
今日は、優未ちゃんのスンっと解除する絶好の優三チャンスがあったのに逃してしまって惜しかったです。事務員さん、上司の核心をついたら仕事がしにくくならないでしょうか?弟弁護士、いらないと言っているのに弁当を持ってきて、挙句に寅ちゃんには買い取りさせるなんて。せめて寅ちゃんにあげるべきでした。夕べ泣きましたか?と聞く間が長いですが、顔面がアップにびくともせずに持つのでしょう。
普通は目が赤いなと感じても黙っているか、言うとしても「目が腫れているけど大丈夫?」くらいですよね。「泣きましたか?」なんて絶対に言いません。でもそこはドラマ。キザなセリフもドラマだから楽しめます。このセリフ、確かにインパクトがありました。もし現実に言われたら、言われた方はいろいろ考えてしまうでしょう。心配してくれたのか、普通は「疲れてますか?」とかですが、「泣きましたか?」とはある程度関係性がないと言えません。でもまだ親密でもないですし。今後の展開を示唆しているのか、気にかけていることを示唆しているのか。ああ、いいなあ。すみません、青春時代を思い出してしまいました。
コメント