コロナ禍を描いた『おむすび』に視聴者から様々な反応
NHK連続テレビ小説『おむすび』は、橋本環奈さん演じる主人公・米田結が管理栄養士として成長していく姿を描いた作品です。物語はギャル文化との出会いから始まり、阪神・淡路大震災や東日本大震災など、平成から令和にかけての重要な出来事を背景に展開してきました。そして今、物語は新型コロナウイルスの感染拡大という、私たちにとってまだ記憶に新しい出来事を描き始めています。
第113回の放送では、コロナによる緊急事態宣言で飲食店が営業自粛に追い込まれる中での人々の姿が描かれました。結が働く病院ではコロナ患者の受け入れが始まり、感染予防のために一般病棟患者との接触も制限されるようになりました。食事指導は週に一度のみとなり、結は患者さんと十分な会話ができない辛さを感じています。
このコロナ禍を描いた展開に対して、視聴者からは様々な反応が寄せられています。「結や病院の仕事、リモートの不安定さ、街に人がいなくなることを淡々と、でも丁寧に描いているからこそ心がぎゅっとしてくる」「ここまでコロナ禍を鮮明かつ攻めて描くドラマは初めてでは?」といった好意的な声がある一方で、「当時の緊迫した雰囲気が感じられない」「浅く雑に尺稼ぎに利用されている」といった厳しい意見も見られます。
あの頃、未知のウイルスへの恐怖と闘った医療従事者たちの姿を思い出す視聴者も多いようです。ある視聴者は「先日入院した時に聞いた看護師さんの話では、症状があんなに激変する病気は初めて見たと言っていた。朝、歩いて受診した人が夜には人工呼吸器、朝を迎える前に亡くなった若い人もいたという」と当時の記憶を語っています。
また、医療従事者に対する差別や偏見の問題も指摘されています。「病院で働いている人たちに対する差別や偏見の目はすごく、スーパーで買い物していたら『ウイルスをばら撒くな!』と罵倒されたり、その子供までもが学校に行ったら保護者から『うちの子に感染するから学校に来させるな!』と連絡が来たりした」という実体験を持つ視聴者もいます。
こうした複雑な社会状況をどこまで描くのか、それともドラマとしての物語性を重視するのか。『おむすび』の制作陣の選択に対して、視聴者それぞれが自分の経験と照らし合わせながら見ているようです。リアルな描写を求める声がある一方で、「当時の状況がちょっとでも伝われば、それでいいんじゃないか」という意見もあり、コロナ禍という近い過去をドラマ化することの難しさが浮き彫りになっています。

低迷する視聴率の中で描かれる緊急事態宣言下の日常
NHK連続テレビ小説『おむすび』は、放送開始当初から視聴率に苦戦している作品として注目されています。3月10日に放送された第111回の平均世帯視聴率は12.3%(関東地区)、平均個人視聴率は6.9%だったことが明らかになっています。最新の累計視聴率は13.224%と、一般的な朝ドラの水準と比べると低い数字が続いています。
「95話終了時点で13.40%→100話13.34%→105話13.28%→110話13.23%と、着地点の予測もつきそうな、見事な規則的下降ペースも保持されたままです」とコメントする視聴者もいるほど、視聴率は徐々に下がり続けている状況です。
そんな中、物語は新型コロナウイルスの感染拡大と緊急事態宣言という、視聴者にとってはまだ記憶に新しい出来事を描き始めました。街から人がいなくなり、リモート通話が日常となり、医療現場では感染症対策に追われる緊張感のある日々が続く様子が描かれています。
しかし、この展開に対しても視聴者からは厳しい声が上がっています。「今日の放送は当時の病院のほんの一部再現させたものだと思うけど、あれだけ見ても大変だったのわかりますね」という好意的な意見がある一方で、「コロナの緊張感が無さすぎでイラッとします」「今日も再現フィルムかよ」といった批判も見られます。
特に物語の進行の仕方に対する不満が目立ちます。「月・火と病院のコロナ禍の状態を描くのみで、ストーリーは伸展していない」「頻繁に流れるリリー・フランキーのナレーションによる繋ぎが無かったら全く話の流れが成り立たない」など、物語としての魅力が感じられないという指摘が多いのです。
実際、コロナ禍という重いテーマを扱う中で、どのように視聴者の心に響く物語を紡いでいくのかは難しい課題です。時代の空気感を伝えながらも、主人公の成長や人間関係の深まりといったドラマ本来の魅力を描くバランスが求められます。
コメントの中には「コロナ禍の食料品や出前やパルスオキシメーターじゃないんだから、基本、人に見せるために着る物である衣料品、ファッションが、コロナ禍にネットでバカ売れするわけがないでしょう」「コロナ禍の時って人間不信になるくらいに自粛警察が凄くてそれは店をたたむ人がたくさん出た。そんな暗い世の中でネット通販で爆売れって誰が共感出来るのだろうか」など、リアリティを求める声も多く見られます。
「コロナ禍を扱う必要あるのかな?朝から気持ちが落ち込む」という意見もあり、朝ドラとして視聴者に元気を与える役割との兼ね合いも難しいところです。限られた残りの放送回の中で、『おむすび』がどのようにストーリーを展開し、視聴者の共感を得ていくのか、注目が集まっています。
「歩」のブランドがネット通販で爆売れする展開に違和感の声も
NHK連続テレビ小説『おむすび』の第113回では、仲里依紗さん演じる歩のオリジナルブランドが、コロナ禍の中でネット通販に活路を見出すという展開が描かれました。イベントで販売するために大量に発注していた服の在庫をネット販売に切り替えたところ、予想に反して商品が「爆売れ」するという結果になったのです。
この展開に対して、多くの視聴者から違和感の声が上がっています。「オリジナルブランドがコロナ禍の中でネットで爆売れ、って理解できんな。緊急事態宣言で自宅にいたり中々コロナになっても病院は超満席でベットの空きも無い大変な時に、あんな派手な服をネットで買いたい人いるんだろうか?」という疑問の声が代表的です。
実際、当時のアパレル業界はコロナ禍で大きな打撃を受けていました。「コロナ禍で外出自粛。新しい洋服は買わなくなった。オシャレもしなくなった人 多数。そんな中、ギャル服は爆売れ…」と、現実との乖離を指摘する声も目立ちます。さらに「コロナ禍でアパレルは壊滅状態だったんだけどなぁ、外に出ないから服買わなくなったからね、既存のアパレルはまだしも立ちあがたばかりで資金的にも大変だろうし」といった業界の現状を知る視聴者からの指摘も見られます。
中には具体的な代替案を提案する視聴者もいます。「歩さん、せっかくだからギャル特製のおしゃれマスクとか作ったらどうだろうか?不織布マスクなんか手に入らない時期だったから、ギャル服爆売れよりはギャルマスク大評判の方が、まだ現実味がありそうだけど」という意見は、当時の社会状況を踏まえた現実的な提案と言えるでしょう。
一方で、「ネット販売が注目されてった時やもんね。鬱々としたタイミングであんなド派手なの着ることは悪いことではないし」と、明るいファッションが人々の気持ちを明るくする効果に注目する意見もあります。実際、コロナ禍では巣ごもり需要が高まり、ネット通販の重要性が増した時期でもありました。
しかし、多くの視聴者が感じているのは、展開の「唐突さ」や「物語の浅さ」です。「歩のとこはいいチームやな。全部、売り切ろう。ムータン。マスクに合ったコーディネート考えて。マーユー。ホームページ作り直せる?佑馬、ダイレクトメッセージ送って。これからキングオブギャルはネット販売に力を入れていこう。オー言うてたな。売れそうやな」というセリフの羅列だけで、具体的な成功の過程が描かれていないことに不満を感じる声も上がっています。
「歩の会社の商品の売れ行きが好調になった過程をほとんど描かずに、視聴者が知らない間にどんどん話が進んでいくのが、実に『おむすび』らしい展開になっている」というコメントに表れているように、物語の展開の早さや表面的な描写に物足りなさを感じる視聴者も少なくないようです。
コロナ禍という誰もが経験した記憶に新しい出来事を背景にしているからこそ、視聴者は自分の経験と照らし合わせながらリアリティを求めています。歩のネット通販の成功が、視聴者の共感を得られる形で描かれるのか、今後の展開に注目が集まります。
管理栄養士としての「結」の活動に現実味が足りないという指摘
NHK連続テレビ小説『おむすび』は、橋本環奈さん演じる米田結が管理栄養士として成長していく物語を軸に展開しています。コロナ禍の中での管理栄養士の活動は、感染防止のために大きく制限される中、結は患者との関わり方に悩む姿が描かれています。
しかし、この描写に対しても視聴者からは厳しい指摘が寄せられています。特に医療現場の実態を知る視聴者からは、「搬送されたばかりのコロナ患者の病状を聞き取って献立を考えたり、コロナ患者の食欲不振を解消しようと献立考えたりするの?悪阻の妊婦さんの時もそうだったけど、食欲不振の原因は献立じゃないし、症状が快方に向かえば自然と食欲も戻るだろうに」という疑問の声が上がっています。
実際、当時の医療現場では「コロナ禍でマスクも防御服も足りなくて」という状況の中、医療スタッフは本来の専門性を超えた業務に従事することもありました。「コロナ患者を受け入れた医療機関は、手が足りないので、栄養士とか薬剤師まで、患者の振り分けや事務処理、清掃など本来と違う業務をせざるを得なかった」という現場の実態を指摘する声もあります。
食事内容についても、「食欲不振の患者にプリン。コロナ患者にもプリン?家族に会えない不満の患者に『ごめんなさい』?結は厚労大臣か?『感染防止やけん、しかたないでしょ。がまんしょ』でしょ普通」と、結の対応が現実離れしているという批判も見られます。
さらに、「大きな病院の栄養士チームなのにこれまでの経験的な蓄積は無いのか?」という指摘や、「管理栄養士だからって、献立を考えてれば良いってもんじゃなかっただろうに。手が足りなくて他の業務に駆り出されたんじゃないのかな?」といった現場の実情を知る視聴者からの声も目立ちます。
「結がコロナに効くメニューを開発するのか?」と皮肉交じりに問いかける声もあり、管理栄養士の役割や医療現場の状況に対する理解不足を指摘する意見が多く見られます。中には「栄養士と管理栄養士の差を視聴者に伝えきれてない時点でこのドラマは失敗だと思う」と、専門職への理解が深まるドラマとしての役割を果たせていないとする厳しい意見もあります。
一方で、コロナ禍の環境下で管理栄養士として何ができるのかという悩みの描写に共感する声もあります。「病院での立場を考えると結が出来るのは食事と寄り添う事だから、今回の場合は出来ることが制限されてるよな・・・」という意見のように、制限された状況でも患者に寄り添おうとする結の姿勢を評価する声もあります。
管理栄養士としての結の活動描写には、ドラマとしての感動を優先するあまり現実味が薄れている部分も見受けられます。しかし、コロナ禍という誰もが経験した困難な時代を背景に、それぞれの立場で最善を尽くそうとする人々の姿を描こうとしている点には一定の価値があるのかもしれません。
残り少ない放送回の中で、結が管理栄養士としてどのように成長し、物語がどのような結末を迎えるのか。「もう糸島へ帰っていちご栽培だなぁ。床屋どこでもできるし。管理栄養士も糸島の老人ホームで勤務になりましたとさ。めでたしめでたしで終わりかな」と予想する視聴者の声もある中、どのような形で物語が締めくくられるのかが注目されています。
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