「あんぱん」第17話が描く衝撃の兄弟喧嘩、スタンド・バイ・ミーの世界観と阿部サダヲの存在感

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線路に横たわる嵩、スタンド・バイ・ミーの世界観みたい

朝ドラ「あんぱん」第17話で描かれた線路のシーンは、まるで映画「スタンド・バイ・ミー」を思わせる少年の冒険の世界でした。嵩が線路に横たわり、迫りくる汽車の音を聴くシーンは、視聴者をヒヤリとさせる緊迫した場面となりました。

命の危険を顧みず線路に耳を当てる嵩を、間一髪で救ったのが阿部サダヲ演じる屋村草吉(ヤムおじさん)です。『あさイチ』の朝ドラ受けでは、博多大吉さんが「ヤムおんちゃん大活躍。命を救ってましたよ」と振り返り、華丸さんも「ミッション:インポッシブルみたいな…あんなギリギリやなくてもいい」とツッコむほどの迫力ある救出劇でした。

このシーンは単なるハラハラドキドキの展開ではなく、嵩の心の闇を象徴しています。昨晩立ち聞きした会話から、弟・千尋が自分のために医者になることをあきらめたと誤解した嵩は、劣等感に押しつぶされそうになっていました。幼い頃は太平洋を渡るような大冒険だった川渡りも、今は簡単に渡れるものになり、立場が逆転した兄弟関係を象徴するかのようです。

ヤムおじさんとの会話では「シーソーなら、またおまえが上に上がることも…なさそうだなあ」という言葉が嵩の心に突き刺さります。ここには思春期特有の葛藤と、母親に捨てられた過去を持つ嵩の複雑な心情が描かれているのです。

X(旧ツイッター)では「1人スタンド・バイ・ミー」という言葉も見られました。映画「スタンド・バイ・ミー」では少年たちが線路沿いを歩く冒険物語が描かれていますが、嵩は一人きりでその危険な冒険に挑んでいました。そこには仲間と一緒だった子供時代と違い、今は孤独に悩む青年の姿が映し出されています。

線路に横たわるシーンは、やなせたかし氏の実体験をもとにしているとも言われており、アンパンマンの生みの親となる前の苦悩の時代を伝える重要な場面となりました。自分自身を見失いそうになる嵩の姿は、のちに「正義の味方」を生み出す漫画家の原点とも言えるかもしれません。

弟の本音が炸裂!兄弟喧嘩で明らかになる深い絆

第17話の見どころは、何と言っても嵩と千尋の兄弟喧嘩のシーンでしょう。柳井家の庭で繰り広げられた取っ組み合いの喧嘩は、互いの胸の内に秘めてきた本音が炸裂する場面となりました。

嵩は「俺がいない方が、勉強はかどっただろ」「俺はおまえと違って頭悪いからな」と自嘲気味に語りかけます。そして「優等生ぶりやがって」と千尋を責め、「兄弟でも月とスッポンだもんな」と自分自身を卑下します。その言葉の裏には、弟より劣ることへの苦しみと、それでも弟を大切に思う気持ちが隠されています。

一方の千尋も、「兄貴はなんで、おふくろの言いなりになるがな」「随分前に捨てたと思うちょったら、急にまた戻ってきて母親面して。あの人は息子を医者にして、自分の居場所を作りたいだけやろうが!」と登美子への不満をぶつけます。幼い頃に母親に捨てられた傷を抱えながらも、千尋は嵩のことを心配しているのです。

この場面について、視聴者からは「兄弟の正直であるがゆえのひりひりする感情のぶつけ合い」「朝から泣ける兄弟喧嘩」という声が寄せられました。実際に、喧嘩をする二人の姿を見ていた登美子と千代子の表情にも、複雑な感情が表れていました。

「腹の底を知るには喧嘩が一番手っ取り早い」「本音をぶつけ合いまた絆が深まる事もある」という視聴者の声にもあるように、この喧嘩は実は兄弟の絆を深める重要な出来事かもしれません。お互いに遠慮していた部分があったからこそ、感情をぶつけ合うことで新たな関係を築くきっかけとなるのでしょう。

さらに、この喧嘩を仲裁するために駆けつけたのぶが、嵩にビンタをして「あんたは千尋くんの気持ち、ひとっちゃあ知らん。誰が一番近くであんたのこと、ずっと見てきたと思うちゅうがで」と叱るシーンも印象的でした。のぶの言葉は、兄弟の本当の関係を照らし出すものとなっています。

「ずっと秘めているより思い切り言い合えて良かった」という視聴者の声にあるように、この兄弟喧嘩は、お互いの気持ちを理解するための重要なステップなのかもしれません。父親を亡くし、母親に一度は見捨てられるという共通の経験を持つ二人が、本音をぶつけ合うことで、これからの関係を見つめ直す機会となったようです。

母親・登美子の存在が兄弟関係に投げかける影

松嶋菜々子演じる登美子の存在は、嵩と千尋の兄弟関係に大きな影を落としています。第17話の兄弟喧嘩の場面では、お互いの気持ちをぶつけ合う中で、母親に対する複雑な感情も浮き彫りになりました。

「兄貴はなんで、おふくろの言いなりになるがな」「あの人は息子を医者にして、自分の居場所を作りたいだけやろうが!兄貴はあの人に利用されゆうがよ!」という千尋の言葉は、登美子の本心を鋭く突いていました。これらの言葉を登美子自身も聞いてしまうという展開に、視聴者からは「図星過ぎた千尋の一言が話題」「千尋くん、母親の毒親っぷり言ってくれてスッキリ」という反応も見られました。

一方で嵩は、「黙れ!」と千尋を制止し、母親を守る姿勢を見せます。嵩にとって登美子は、自分を認めてくれる存在であり、「なんだかんだ言っても母親が好きなのだろう」という視聴者の声にもあるように、複雑な思いを抱えながらも母親との繋がりを求めているのでしょう。

この対照的な兄弟の姿には、幼少期の経験の違いが反映されています。千尋は「小さい頃に預けられたのも全て覚えていた」のに対し、嵩は母親と一緒にいる時間が長かったため、その距離感が異なります。「登美子は自分の子供だからここまで図々しくなれる」「千尋とタカシが本当に可哀想」という視聴者の声にもあるように、母親の勝手な都合で振り回される兄弟の複雑な心情が描かれています。

「普通の家庭で育たなかった二人」「お母さんは、再婚して、また離婚するという複雑な環境」の中で育った兄弟にとって、登美子は愛憎入り混じる存在です。「これには義妹も一言も挟めない」という戸田恵子演じる千代子の立場も、この家族関係の複雑さを表しています。

「登美子さんにはグサッと刺さる言葉もあった」という視聴者の感想にもあるように、兄弟の本音を聞いた登美子がどのような行動を取るのかは、今後の展開の鍵となるでしょう。「これがきっかけで、登美子さんはまた出ていくのかな」という予想もある中、母親としての自覚と責任をどう果たしていくのか、注目されています。

登美子の存在は、嵩と千尋の兄弟関係だけでなく、のちに漫画家・やなせたかしとなる嵩の人生にも大きな影響を与えることになるのでしょう。「でもそれがのちの、たかしさんの、本に出てくる名言に変わっていく」という視聴者の言葉にあるように、この苦しみが後の創作の源泉となっていくのかもしれません。

阿部サダヲ演じるヤムおじさんの存在感が光る重要なシーン

第17話で阿部サダヲ演じる屋村草吉(ヤムおじさん)の存在感が際立っていました。特に嵩が線路に横たわり危険な状態になっていたところを助け出すシーンは、『あさイチ』での朝ドラ受けでも大きく取り上げられる見どころとなりました。

博多大吉は「ヤムおんちゃん大活躍。命を救ってましたよ」と絶賛し、華丸も「ミッション:インポッシブルみたいな…あんなギリギリやなくてもいい」とツッコむほどの緊迫したシーンでした。視聴者からも「ヤムおじ助けた!」「張り詰めた雰囲気の中、ヤムおじさんの存在がありがたい」という声が上がっています。

ヤムおじさんは単なる命の恩人というだけでなく、嵩の心の支えとなる存在として描かれています。「嵩は繊細でいろんな病気にかかります」「ジェラシー病の次はコンプレックス病かな?」という視聴者の指摘にもあるように、嵩の心の葛藤に寄り添い、「ヤムおんちゃんは何でも話せる話しやすい存在なのでしょうね」という役割を果たしています。

川辺での会話では、嵩が子供時代の弟との思い出を語るシーンがありました。「シーソーなら、またおまえが上に上がることも…なさそうだなあ」というヤムおじさんの言葉は、厳しくも温かい現実的なアドバイスとなっています。それは嵩に「落ち込んだ」感情をもたらしましたが、自分の状況を冷静に見つめる機会も与えています。

また、兄弟喧嘩の場面でも「そう思うとあまりこたえてなさそうな気もするけど…明日の放送が気になる」「一見すると我関せずなヤムおんちゃんが、この兄弟喧嘩を登美子と千代子の代理戦争だと、さりげなく指摘した」というように、家族の力学を鋭く見抜く眼差しも持っています。

阿部サダヲというベテラン俳優の存在感は、「あんぱん」という物語全体に厚みを加えています。「のぶがまた本気で嵩のために怒っていましたね。それを無言で見ていた登美子と千代子はどんな心境だったのか」という視聴者の疑問に、第三者的な視点からの示唆を与える役割も担っているのです。

実在のやなせたかし氏の人生において「ヤムおんちゃんものぶちゃんもいなかった」という事実がありながらも、ドラマとしての「あんぱん」では、彼らが物語に深みを与える重要な存在となっています。特にヤムおじさんは、嵩の人生の岐路に立ち会い、時に命を救い、時に心の支えとなる、欠かせない脇役となっているのです。

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